紙の種類 和紙と洋紙
和紙、洋紙とは
明治時代(1860年代)に欧米より製造方法が伝わった紙を洋紙と呼ぶのに対し、日本の伝統的な製造方法でつくる紙を和紙と呼んでいます。
和紙と洋紙の主な違い
和紙 | 洋紙 | |
原料 | 麻・楮(こうぞ)・三椏(みつまた)雁皮(がんぴ)など | 広葉樹・針葉樹など |
繊維の長さ | 長い(薄くても強い紙になる) | 短い |
サイズ剤 | なし(ドーサ引きあり) | 使用 |
填料 | なし | 使用 |
紙力増強剤 | なし | 使用 |
表面 | 粗くて不均一 | 滑らかで均一 |
強度 | 強い | 針葉樹は強い |
印刷 | しにくい | しやすい |
洋紙の場合、繊維は水素結合により結びつきますが、和紙はこれに加え、長い繊維が絡まりあいます。「ネリ(トロロアオイの根)」という透明な液体で、繊維を分散させ漉きます。伝統的な和紙はほとんど薬品を使用していません。
(ドーサ引きとは、ニカワにミョウバンを溶かした液を塗ること。紙のにじみ止めのために行う処理)
和紙は長期保存に適している?
和紙は長期保存に適していると言われます。その理由は、繊維が長くて太く物理的に丈夫なこと、紙を酸性化させる硫酸アルミニウムを使っていないことなどです。永く残ってきた実績もあります。しかし近年、生産量が縮小しており、伝統的な製法が維持できず、風合いのみが和紙というものも中にはあります。
1984~85年、市販の手漉き和紙(国内産40種、中国産1種)を対象に「手漉き和紙の全国調査」※を行いました。その結果、物理的な強度を示す「耐折強さ」で1000回以上の和紙は、15種。逆に100回以下のものは13種ありました。また、pH6.5以下の酸性を示す和紙は、23種ありました。すべての和紙が長期保存に向いているとは言えません。
※文化財之科学 第29.30号(1984-1985)
上記の説明は一般論です。さらに詳しく知りたい方には、『和紙文化辞典』久米康生著(わがみ堂 1995)、『紙・パルプ事典』紙パルプ技術協会編 (金原出版 1989)などをご紹介します。